遊びと発達の研究家,まっつんです。
おもちゃってほんとうにいろんな種類がありますよね。 トイザラスなんかに行ったら広い売り場に様々な種類のおもちゃがずらーっと並んでいます。
子どもは遊びの中で成長していきます。 その時に子どもの成長にとって大きな役割を果たすのが「おもちゃ」です。
おもちゃは子どもの良きパートナーとして遊びをつくっていきます。 そして,遊びの中で子どもは様々な能力や発達を獲得していくのです。
せっかくだから子どもにとって良いおもちゃを選んであげたい。 そんな風に思っているお母さん,お父さん,そして子どもに関わる仕事をしている方々,たくさんいるでしょう。
僕も良く「どんなふうにおもちゃを選んだらいいの?」と聞かれます。 今子どものためのおもちゃはたくさん種類がありすぎて,いったいどれを選んだらいいのか迷ってしまうようです。
「良いおもちゃ」の定義はそれぞれあると思いますが,今回は「発達を促すためのおもちゃ選び」のための最低限ここだけは押さえておきたいというポイントを紹介します。
ぜひ,おもちゃ選びの参考にしてみてください。
発達段階にあったおもちゃを選ぶ
発達を促すためのおもちゃ選びで一番忘れてはいけないポイントがこれです。
「発達段階にあったおもちゃ」を選ぶことで,自然と子どもの遊び心を引き出し,次の発達のステップへと成長を促していきます。
「発達段階にあったものを…」と簡単に言っても子どもの発達段階や発達の順序について専門的な知識のある人はなかなかいないでしょう。 おもちゃ屋さんの店員さんでも,商品知識はあっても子どもの発達について詳しく知っている人はまれです。 むしろ,その様な相談ができるおもちゃ屋さんがあったら,どんどん活用していきたいですよね。
なので,専門知識がなくてもおおよその目安を書いておきます。
①動作を伴って楽しめるもの
②組み合わせたり形をつくったりして遊べるもの
③頭を使って考えたり,ルールのあるもの
だいたいこの順序で子どもの興味に合わせておもちゃを選んでいくと良いです。 そして,ポイントは「今できるもの」を選んでいくことです。
発達を促すというとついつい,「今できる事より難しいものを…」と考えてしまいますが,子どもにとってそのおもちゃを遊べるだけの能力,レディネスが備わっていないとそもそも遊びとして成立しません。 子どもの能力や身体的な機能という準備が整ったおもちゃを選んでいくことが一つのコツです。
おもちゃ選びの時に,子ども自身に遊び方を説明して食いつくかどうかも参考にすると良いでしょう。 ちょっと練習すれば遊べるものなどでも大丈夫です。
レディネスについて詳しくは
手の技巧性にあったものを選ぶ
こちらは特に身体的な機能にあったおもちゃ選びのポイントです。
今は例えばブロックにしても,子どもの技巧性,指先の器用さに合わせて様々なサイズ展開がなされています。 子どもにとってそのおもちゃが扱いやすいかどうかは,そのおもちゃで遊びこむかどうかの大きな分かれ目です。
単純に大きなものが扱いやすいかというとそういう事もなく,手に余るサイズのものでは反対に持ちにくかったり使いにくかったりという問題も生じてきます。
また,手の動きだけに絞ってみても「つかむ」「曲げる」「はめ込む」「ねじる」「ひねる」「まわす」「ひっぱる」などその動作は様々です。 その動きをする時に使う関節の数が増えるほど,それぞれの関節が異なる動きをするようになるほどより高い技巧性が求められてきます。
上の例で言えば,「つかむ」「ひっぱる」は比較的早い段階からできますが,「ねじる」「ひねる」といった動きはそれよりももう少し難しく後になってから獲得する動きです。
想像性を促したいと思って,ブロック系のおもちゃを選ぶ時にも,子どもの技巧性にマッチしたものを選ぶことが重要です。 使いやすさはその遊びの効果をより高いものにすることができます。
材質も考慮して選ぶ
材質も大切なポイントの一つです。
「子どものために木のおもちゃを」といった様な宣伝文句をみたことがある人は多いんじゃないでしょうか。 確かに,木のぬくもりは安心するし,使っているうちに風合いが変わってきて独特の味が出て来る点なんかとても良いものです。
でも,実際に使っている子どもにとってそのおもちゃが扱いにくくては遊びに集中できません。 時には,木よりも軽いプラスチックの方が良かったり,スポンジ製の積み木の方が倒れたり投げたりしても怪我をしにくくて良いという場合もあります。
ブロックの例で言えば,木のブロックよりもプラスチックのブロックの方がより”カッチリ”とはまるので, 手先の不器用さを持っている子でも扱いやすいという利点があります。
また,子どもによったら元気が有り余っておもちゃをちょくちょく壊すということもあるでしょう。 その様な時に高価な木のおもちゃではなかなか買い替えが出来なかったりといった不都合もあります。
「木のおもちゃだから良い」という単純な図式ではなく, 子どもの手先の器用さやその他の条件も考慮して材質を選ぶと扱いやすさは変わってきます。
「発展」のあるおもちゃを選ぶ
発達を促すおもちゃ選び,といった際にはぜひ「発展性」のあるおもちゃを選びたいところです。
おもちゃの「発展性」とは,そのおもちゃで限られた遊び方しかできないのではなく,他の遊び方にも応用出来たり,より広がりがあるようなおもちゃの事です。
例えば,発売から10年たった今でも子どもに人気な「ベイブレード」。 ベイブレードはいわゆる対戦型のコマ遊びです。色々なパーツを組み合わせて戦うことができるため,なかなか白熱し子ども時代に遊んでいたお父さん世代も夢中になっています。
でもこれ,遊び方は「戦わせる」という決まった遊び方にどうしても固定されてしまいやすいんです。 おもちゃ会社が想定している遊び方がほとんどすべてといっても過言ではないです。
そういった意味ではいわゆる「キャラクターもの」のおもちゃも多少注意が必要です。 キャラクターがついているおもちゃではそのキャラクターにどうしても遊びが引っ張られてしまうため,「発展」を考えたときには少しネックになってしまう事もあります。 特に発達障害を持つ子に関してはその「キャラクター」のイメージに左右されやすい子も少なくないので注意が必要かもしれません。
発達を促していくという事を主眼に置いた時には,子どもの自発性をより刺激するように,遊び方が定まっていないおもちゃを選ぶとより効果的です。 「遊び方が定まっていないおもちゃ」とは,そのものの機能としてはシンプルで,他のおもちゃと組み合わせたり,その自分で遊び方を考えたりできるようなおもちゃです。 この「組み合わせたり」「自分で考える」という体験は子どもの発達をより刺激していきます。
ただ,決まった遊び方,決まった枠の中で工夫を凝らしていくという事も決してマイナスになるわけではありません。 その決められた遊び方の中で技術を磨いていくことも手先の技巧性を高めたり,工夫することの大切さを学んだりすることができます。 そして,一定の枠の中で工夫することができる様になるには,その前の段階で「発展」のあるおもちゃで遊んだり決められていない自由の中で試行錯誤をした経験が非常に重要になるのです。
最後のポイント「遊びこみ」とまとめ
最後のポイントはそのおもちゃで「遊びこむことが大切」という点です。 おもちゃ選びの視点からは少し広がりますが,子どもが遊びこむ間もないくらいに次々と新しいおもちゃを増やしていっては発達の促進にはなりません。
子どもにとっておもちゃで遊ぶことは様々機能や能力の「練習」をしていることと同じです。 運動をしている人,やっていた人は良くご存知かと思いますが,練習メニューをころころと変えていては目的の成果は出ません。 やはり,ある一定の成果が出るためにはある程度続けて同じ練習をする必要があるのです。
それと同じように,おもちゃにしてもそのおもちゃで遊びこんでいくことが大切なのです。 そして,遊びこんでいくうちに自然とそのおもちゃの新しい遊び方,「発展」を考えたり,見つけたりもしていくようになります。
おもちゃは子どもにとって遊びのパートナーであり,「先生」の様な存在なのです。 先生を頻繁に変える人はそうそういませんよね。おもちゃも同様にじっくりと遊びこんでいきましょう。
今回は,「発達を促すためのおもちゃ選び」として5つのポイントを紹介しました。 クリスマスはまだまだ先ですが,ぜひ今後のおもちゃ選びの参考にしていただけたら嬉しいです。
以上,まっつんでした。
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