「預かり型」放課後等デイサービスは必要か?支援の質と多様性を考える

どうも,発達障害支援の心理屋まっつんです。

 
2017年度,放課後等デイサービスの運営基準が改訂されました。
改訂を受けて,児童指導員の基準や児童発達支援管理責任者の要件が変更になったわけです。
 
その理由として放課後等デイサービスの質のばらつきが指摘されています。
特にその中でも,子どもが放課後デイでの時間を,ただテレビを見たりゲームをしたりして過ごしているという,”子どもを預かるだけ”のデイサービスが問題視されました。
 
今回は,「預かり型」放課後等デイサービスの是非について考えたいと思います。
 

〇「預かり型」はあっても良い

まず,僕の意見として「預かり型」はあっても良いと思っています。
 
ただし,それは上の例の様な,ただテレビを見ている,ゲームをしているという様な形ではありません。
ただ,場所を提供しているだけのデイサービスではやはりその存在意義は不十分だと思います。
 
パソコンやIT機器を使えるようになる,という名目でPCやタブレットを用意している放課後デイもあります。
でも,そこで実際に行われていることが,そのPCやタブレットを使ってひたすらYOUTUBEを見ているだけでは,せっかくのアイテムも宝の持ち腐れです。
 

〇「預かり型」放課後等デイサービスの条件

なので,僕が考える「預かり型」の条件をいくつか考えてみました。
 

・プレイリーダーがいること

子ども達が有意義に遊びを享受できるように,支援者がプレイリーダーとして機能していることが必要です。
 
プレイリーダーとは,子ども達の遊びを引き出したり,遊びの中の調整をしたり,きっかけを提供できるような存在です。
子ども達の遊び相手になったり,子どもたちの本来持つ自発性をさらに引き出していきます。

・遊具,遊びの可能性が開かれていること

遊具や遊びが多様であり,子ども達が自発的に遊びを見出していけるような環境であること。
 
遊具の種類(特に機能的な種類)の豊富さは,遊びの中で様々なスキルを獲得していくきっかけになります。

・日常生活場面で療育的関わりができること

遊びやおやつの時間など,日常的な生活の場面で支援者が療育的に関わることができる必要性があります。
 
切り替えに対する言葉かけや,その仕組みづくり,子ども同士のケンカやトラブルをただ大人が仲裁し解決するだけではなく,生活スキルの練習の場として機能できること。

・親や家族の支援,レスパイトケアとして機能していること

ただ,子どもを預かるだけではなく,その時間が普段その子の支援者である親や家族のリフレッシュの時間や家事をする貴重な時間として機能していること。
 
また,親や家族が相談を気軽にできるような機関として放課後デイが機能できることも大切です。

・子どもの居場所として機能していること

子ども達は学校で勉強や社会生活を通して,疲れて放課後デイにやってきます。
その時に,放課後デイで過ごす時間がリフレッシュできる時間として機能すること。時には心身ともに休むことが出来る様な柔軟な場であることが大切です。
 
放課後デイがその子にとって,心理的にも安心安全な場であること。

・放課後等デイサービス全体として多様性が保たれていること

「預かり型」「療育型」をはじめ,その子に合ったサービスを選んで使えるような環境が保たれていること。
その子の生活の中で,必要に応じてサービスの種類を選択できること。
 
例えば,月曜日は運動系療育をするデイサービスで過ごして,水曜日は学習に力を入れてくれるところ,木曜日は「預かり型」で回復をして,金曜日はSSTをするところに行く,なんていう形でサービスをカスタマイズしていける環境が整えられていることが重要です。
 
 

〇「預かり型」があっても良い,その理由とは

僕が,「預かり型」があっても良いと思うその理由は大きく2つあります。
 
一つは,子ども達は遊びの中で成長する可能性を大きく持っているという点です。
 
遊びを通して,子どもは他者との関わりあい方や様々な技能を習得していきます。
そういった子どもの自発性に根差した視点から,遊びの時間を確保できる「預かり型」の意義は決して小さくありません。
 
そしてもう一点は,子どもは学校でけっこう疲れているという点です。
 
やっぱり一日学校で過ごしてくると,子ども達も疲弊します。
その上,放課後デイでがっつりと療育プログラムをこなしていくのはなかなかの重労働。
 
さらに,学校という大きな”社会”の中で過ごしてくることは,発達障害を持つ子にとっては大きなストレス源でもあります。
そのストレスを緩和したり発散する場所として,放課後デイが機能することは,その子の社会的な適応を高める効果もあります。
 

〇「療育型」と「預かり型」の違い

今まで見てきたように,僕が考える「預かり型」の放課後デイとは,ただテレビを見たりゲームをしたりして過ごす場所ではありません。
 
「療育型」との大きな違いは,プログラムに割く時間の割合という部分が大きいです。
「療育型」では,その目的に合わせて構造化されたプログラムを行っていきます。
 
これも,子どもの成長の観点から見たらとても必要な事です。
 
一方,僕が考える「預かり型」では自由な時間を重視しています。
その時間を遊びにあてるもよし,休息にあてるもよし,その子の状況に合わせて支援内容を選択することができます。
 
なので,「預かり型」といっても療育的視点が不必要という訳ではありません。
 
むしろ,プログラムとして構造化されていない分,支援者にはより高い知識や技能が求められてきます。
発達や特性への理解はもちろんのこと,プレイリーダーとしての振る舞いや場をつくるという具体的なスキルが要求されてきます。
 
また,日常生活の中で療育的な関わりをしていくためには,その子の状態をしっかりと把握するというアセスメントスキルも求められます。
 
「預かり型」もただ預かるだけではなく,体験の仕掛けづくりやきっかけを用意していくことは不可欠です。
その上で,子どもの自発性に根差した形で時間と空間を提供する事が「預かり型」の理想的な形ではないでしょうか。
 

〇その子に合った形のデイサービスを

サービスの形が特化していくと,やはりその形に合う合わないという問題も出てきます。
 
「預かり型」のサービスでは,支援者は裏方になって支援していくという形を考えてきました。
遊びを自ら見出して行動や動作を広げていける子には,その様な環境は成長を促進してくれます。
 
一方,自閉傾向が強く新しい行動を自分で発見していくことが苦手な様な子にとっては,構造化されたプログラムとして動作やスキルを学習する方が向いている場合もあります。
 

その子の特性や発達段階に応じて,適切なサービスを選択していけることが良いですね。

また,僕たち放課後等デイサービスに携わる従事者は,その様な多様性をもったサービス環境を保っていくという視点も忘れてはいけません。

 
 

〇まとめ

「預かり型」の必要性やその条件を考えてみました。
 
僕も指摘されている様な,本当に”ただ預かるだけ”のサービスには疑問を抱いています。
でも,その上で「預かり型」をすべて否定し,プログラムを充実させた放課後デイだけが残る事にも同じくらいの疑問を抱いています。
 
子どもにとって放課後は,本来友達と遊んだり自分の好きなことを楽しむ時間です。
それがただ”訓練のための時間”になってしまうのは,非常に危険な事です。
 
子どもの社会適応を伸ばすのは,訓練によって獲得したスキルや知識だけではありません。
 
友達と遊び過ごした時間や,自分の好きなことに没頭した体験はそれだけでその子の適応を高めます。
 
子どもが過ごしていく環境は,自然と用意される場だけではありません。
放課後等デイサービスの様に意図的に用意されている場では,その存在意義やサービスの質(もとい,子どもにとってどんな場所であるのか)を常に問い続け,改善し続けていくことは必要不可欠でしょう。
 
「預かり型」も「療育型」もいずれも,その子にとってどんな場や経験が必要なのか,生活全体を通してどの様なバランスで使っていくのが良いかを考えて選択していってもらえればと思います。
 
 
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