【ギャングエイジ】

小学校の中学年になると,子どもが集まってさまざまな遊びを行う。その集団のことを徒党集団とよぶ。(心理学辞典,有斐閣より)

〇児童期の発達と仲間集団

大人に隠れてこっそりつくった秘密基地。グループの名前を書いた旗をつくったり,他の子ども達には見つからないように内緒にする。
そんな遊びを子ども時代に過ごしていた大人も多いのではないでしょうか。1対1の関係よりも発展した仲間集団。早くは幼児期から連合遊びや協同遊びの様な形で一時的に見られることもありますが,児童期に入ると仲間の持つ意味はよりいっそう大きくなり,またその関係性も一時的なものではなく持続的になってきます。小学校中学年頃になると,大人を排した子ども同士の集団が形成され,しばしばその集団は強い閉鎖性をもっています。外の集団には排除的になり,それぞれのメンバーには集団への所属の意識が芽生えてきます。これによって1対1の友達関係であった「わたし-あなた」関係から,複数のメンバーによる私達=「われわれ意識」が形成されていきます。

これは,例えば学校の班割の様な,意図をもってつくられた集団とは区別されます。

子どもは主に遊びを通して,この様な仲間集団を形成していきます。仲間集団の形成は,社会的認識の発達に伴って行われ,またその集団の中で培われていく社会性は子どもの発達にとって非常に重要なものです。

集団内で遊んでいると,どうしても自分の意見と他者の意見,または集団の意見との対立が生じる場合があります。その葛藤状態に対して,同調したり,意見を調整したりしていくことでコミュニケーションスキルを育んでいくのです。

また,児童期の子どもにとっては,同等の存在である仲間関係にある他者から,認められ尊重されることはとても重要です。そして,仲間から認められることは児童期の子どもにとって非常に大きな関心ごとです。

これには,自尊心や自己肯定感を高めるプラスの側面があると同時に,集団への過度の同調や時にはいじめなどの問題へと繋がっていく危険性もはらんでいます。

仲間集団に認められるために,他者を排除する形で行われるいじめは,いじめの典型的なひとつのパターンでもあります。

児童期の中ごろになると,この様に他者への関心や社会的認識が発達し,子どもを取り巻く関係性も1対1のものから,1対多数へと次第に変化していきます。そして,仲間集団での経験はその後の発達に大きな影響を与えていくのです

〇療育へのまなざし

ギャングエイジを過ぎるころになると,それまでの保護者や家族,大人との関係性よりも仲間集団での関係性が子どもの中でウェイトをしめる様になってきます。

そして,仲間集団の中で葛藤を感じる機会も増えていくことになります。大人との関係性は一方に一方が合わせたり,力関係はどうしても対等ではありません。しかし,仲間集団の中では基本的にはお互いは同等の立場です。

同等の関係性の中では,どうしても意見の対立は避けられないものです。発達障害をもつ子の場合,しばしばこの意見の対立でいざこざが起きたり,けんかになったりといったこともあるでしょう。

他者との関係性における葛藤の解決手段としては,ソーシャルスキルを身に付けることがまず一番にあがると思います。

確かに,スキルとして自分の思いの伝え方や,対立する意見の調整法を学ぶことは重要であるし,とても大切なことです。
しかし,実際の葛藤場面でそのスキルを使えるようになるには,まずその葛藤状態を受け止めることが必要になります。

スキルとしてのコミュニケーション法を練習していても,実際の場面では使えないという子の中には,頭ではわかっているけどその場では気持ちがぐちゃぐちゃになってしまってどうしていいかわからない,という子も多くいます。

そういう子にとっては,ぜひソーシャルスキルの練習と一緒に情動制御の練習も行っていって欲しいと思います。

自分の感情や葛藤をある程度受け止められるようになることで,同時にいざこざの場面でもソーシャルスキルを使って適応的なコミュニケーションを行えるようになっていきます。

仲間集団でのそういった成功体験は,大きな自信になります。成功体験があることで,次の葛藤場面でもさらに気持ちを整理したり葛藤を受け止める余裕が生まれてきます。

仲間集団でのコミュニケーションに問題を抱えている子に対しては,ぜひソーシャルスキルと情動の2つの側面からサポートを考えてみてください。

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